『食前絶後』といえば、やはり何をおいても調味魔導である。
よってここでは、調味魔導に関して説明することとする。
創始者は神農と言われているが、真偽は不明。
政府関係者の悪用を防ぐため、長野の山奥の隠れ里「XX村」でひっそりと伝承を受け継いでいる。
複数(通常は5人)の継承者候補から、ただ一人が正当なる継承者=秘伝の味の製法を知る者として認められる。
5人とは言っても、次期継承者とその補佐、みたいな感じなので、実質的に継承者は決まっているとも言える。
徳湖が調味魔導の知識を手に入れることになったのはひょんな偶然、もしくは例外扱いである。
審査への正確を期すために、継承者に意義がある場合には、継承候補が戦いを仕掛ける権利が認められている。
基本理論
食物を物質の関数としてではなく、味の関数として捉える。
応用理論
筋力を増大させる味(正確には、筋力を増大させる反応を、人間に引き起こさせる味)などの、
この世にあらざる味をもって、この世にあらざる効果を引き起こす。
発展理論
脳内のAという部分とBという部分がシナプスで結合されると、調味魔導の効果が発揮されるとする。
しかし、通常ではAとBは簡単には結合されない。
この間のシナプスを結合させる働きを持つのが調味魔導の爆裂的な味である。
この結合は使用者の意志によって切り離しが可能であり、それが調味魔導の特色につながっている。
戦闘能力の向上=「思考の疾走」を維持できる期間は五感魔術のトップを走る。
例えば、
『調味魔導食は二十五時間有効』
『戦闘力アップは食事直後で、のべ五分間、二十四時間後で約十秒間有効』
効果を発現するエネルギーは食事から得るため、体に負担をかけることがないという点も非常に有効。
治癒効果を及ぼす味は女性にも有効であるが、戦闘能力を向上させる味は男性にしか効果を発揮しない。
これは女性ホルモンがXX消化酵素の分泌に影響するからだ。この欠点をディレルは克服したのだが……。
【肉そぼろ】
・さっぱりとしたアスファルト
・天津甘栗を作る機械の中で、栗と一緒にぐるぐる回っている石を柔らかくしたもの
【黄色いソボロ】
・原料は卵だと思われる
・発狂して自分がチーズだと思い込んでいる煎茶味
【シーフードサラダ】
・柔らかい地引き網味
【照り焼きチキン】
・うなじが引き千切れるような肉の味。
・視床下部が爆発するような感覚。
・ああ、美味しいよ。地獄の業火のように美味しいよ。
聴覚魔術
・平安時代の歌人が創始者と伝えられている。
・関西の落語家集団・左方一門が操る「言葉」を媒介とする魔術。
・飛び道具としても使用できるが、ヘッドフォンや耳栓で無効とされてしまう。
触覚魔術
・ノロンジという格闘技がそれにあたる。
・血圧の制御は得意
・服の材質で無効化される。
嗅覚魔術
・近世までは残っていたが、既に途絶えてしまった。
・香水で無効化される。
視覚魔法
・ディレルという仮想人格を作り上げられるのは、構成が確かにかつ複雑に編まれている証拠。