「聞仲くん・・・。聞仲くん。聞仲くん!」 仮眠のつもりだったが、気づいたら朝になっていた。 ・・・私らしくもない・・・。 おまけに昔の夢を見てしまうとは・・・。 朱氏。 彼女は私の最高のライバルだった。 ・・・彼女がいなければ私は仙人になどなれなかっただろう・・・。 いろんな意味で・・・。 「聞仲ちゃん・・・。こんばんは。」 その日、仮眠室に行くとどこからか声が聞こえた・・・。 この声は・・・きつね! 「なんのようだ!きつね!・・・あくまでも私にたてつく気か!」 「あはん。相変わらずつれないのねん・・・聞仲ちゃん。」 私は禁鞭を構えた。 「せめて姿ぐらい見せろ!」 「それはだめよん。・・・わらわは聞仲ちゃんの知らないところにいるのだから・・ ・。」 私はますますこのきつねがわからなくなった。 「私の知らないところ?・・・ならなぜここでお前の声が聞こえるんだ!」 「わらわは意外となんでも出来るのよん。」 こいつと話していると疲れる! そして・・・腹が立つ・・・! 「・・・きつね失せろ!お前と話すことなんてない!」 「そんな事いわないで・・・。わらわはあなたとお話したいの・・・。」 きつねと話す・・・だと! 考えるだけで身の毛がよだつ! 「帰れ!」 「せっかく聞仲ちゃんの力になろうと思ってきたのにん?」 「私の力に・・・だと?」 「朱氏さまのことで聞仲ちゃんは悩んでるでしょん?」 なぜこのきつねは知っているんだ! 「お前に何がわかる!」 「・・・あなたのすべてをわらわは知ってるのよん・・・。」 私の全てだと? このきつねは何を考えているのだ?! 「あなたは朱氏さまと、この殷のことで悩んでいる・・・そうじゃない?」 ・・・黙れ・・・。 「なぜ自分が殷を守り続けてるのか分からなくなったんじゃない?」 ・・・黙れ・・・。 「それはね・・・あなたが朱氏さまを愛していたのよ。・・・違うかしらん?」 ・・・黙れ・・・。 「あなたが仙人になれたのも、朱氏さまのおかげ。 嫉妬で燃えた聞仲ちゃんは自分を傷つける事でそれを発散していたのではないかしら ん?」 黙れ。 「私にそのような感情などない!」 「ならなぜ殷を守ろうとするの?」 「それは・・・朱氏の国だからだ!」 「なぜ朱氏さまの国だからなのん?なにか特別な感情があったのではないのかしらん ?」 「・・・そんなことはお前には関係ない・・・!」 「関係あるわん・・・わらわは聞仲ちゃんが心配なのよん。」 「なら私の心配などするな!」 「もしわらわが朱氏さまよりはやく聞仲ちゃんにあってたら聞仲ちゃんはわらわのこ とをどう思ったのかしらん?」 「きつねはきつねだ!」 「そう・・・。聞仲ちゃんは朱氏さまのことをお嫌いだったのかしらん?」 「黙れ!」 「わらわのことは嫌いなのに?朱氏さまとわらわは今、同じ立場にいるのよん?」 「黙れ黙れ黙れ!」 私は金鞭を力いっぱい振り回した。 きつねはここにはいないというのに・・・。 「聞仲ちゃん、怒っちゃいやん。あなたも元は人間だったのよん?・・・人間の感情 を持っているはずなのよ?」 「黙れ!」 「あはん。つれない聞仲ちゃん。なら最後にもう一つ・・・。わらわのことを愛して いるのかしらん?」 「黙れぇ!!!!」 妲己の声も気配も消えた・・・。 ・・・そう。 それはきつねのいう、”愛”というものなのかもしれない・・・。 そう! だから私は間違ってはいないのだ! 「今より周を攻める!」 この国、殷を守るため! そして・・・最愛の人の血を絶やさないようにするため! 「妲己。あなたは聞仲にはっぱをかけましたね?」 「あはん。なんのことかしらん?」 「あなたはわからないことだらけです・・・。さぁ行きましょう、黒天虎。」 「・・・そういう申公豹ちゃんこそわからないことだらけよん。」
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なんか書いてて恥ずかしかったです・・・。
まだまだ愛など語れる年齢ではないので・・・。
一応題名としては、”セレナ−デ”です。
”恋人の家の窓辺で恋人に捧げる歌”らしいです。
私的には聞仲は、感情表現が下手っぽいので
こんな風になってしまいました・・・。 まだまだ巧夫がたりません・・・。